天と地のあいだのはなし

その5:人と食べ物のはなし



 うちの名前はアルザ、アルザ・ロウ。よその世界から降ってきたリュウイチ
と、うまいもんを食いながら旅をしとるんや。
 でも、今日はちょっとうまいもんにはありつけそうにないねん。セアレスに
4つめの魔宝があるっちゅう話でここまで来たのはええんやけど、まわりはみー
んな金ぴかなんや。食えそうなもんは何もないし、誰も住んでへんらしいから、
レストランもないみたいや。
 あーあ・・・せめて人が住んどる頃やったら立派なレストランでぎょうさん
ウマいもん食えたんやろなぁ・・・

        §    §    §

 「こら、アルザっ きょろきょろしてると危ないぞ」

 この口やかましいのがリュウイチや。最初に会うたときはへなちょこなやつ
やったけど、最近は・・・そうやな、ちっとはマシになったと思う。まだまだ
うちには、かなわんけどな。

 「なあ、腹へったぁ・・・なあなあ、飯にせえへん?」
 「だーめ。休憩は魔宝を手に入れてからだ」

 リュウイチ、レミットとカイルに先に行かれてるもんで、ちょっと焦ってる
んか?
 そうはいうても腹のほうが勝手に減りよるんや。かんべんしてえな。

 「足もと、気をつけろよ、メイヤー」
 「大丈夫ですよ、リュウイチさん」

 リュウイチはメイヤーに付いて歩いとる。坂が急やから、だいぶ手こずっと
るみたいや。リュウイチがメイヤーにかかずらっとるあいだ、うちとキャラッ
トは快調なもんや。やっぱうちらは鍛え方がちゃうねんな。

 「リュウイチさん、ボクたち先に行っちゃうよぉ!」
 「そやそや!うちら二人で先に魔宝を手に入れといたる!」
 「アルザ、それいいねっ」
 「せやろ?」

 うちら二人は身軽なもんや。こーんな山道なんかちょろいちょろい。

 「こら!キャラットもアルザも、あんまりはしゃぐなよ」

 後ろからリュウイチがいいよる。心配せんでも、魔宝はうちらがバッチリ手ぇ
に入れたるがな。
 うちは目の前にある金ピカの岩をひょいひょいっと乗り越える。
 (見てみぃ、この華麗なジャンプ!)
 そう思った瞬間や。着地した岩が、ごろりと転がりよった。

 「うわっ!あかん」
 「きゃああ!」

 うちといっしょに、たまたま同じ岩の上におったキャラットもバランスを崩
してしもうた。

 「アルザ!、キャラット!」
 「リュウイチー」
 「リュウイチさぁぁぁぁん!」

 どこをどう落ちていったかは、覚えてへん・・・気がついたら町もなんも見
えんようになっとった。

        §    §    §

 「ほな、うち、ちょっと行って来るからな」
 「うん」
 「じっとしとるんやで、キャラット」

 山の尾根から転げ落ちたうちらは、どこともわからん谷底でようやく止まっ
たんやけど、そこも金ピカやった。
 幸いなことに、うちはあちこちぶつけただけで、特に怪我もせんで済んだん
やけど・・・キャラットは運が悪かったんやろな、右足のひざのすぐ上のとこ
に怪我しよった。けっこう傷は深いんやけど、うちもキャラットも神聖魔法は
ほとんどダメで、とりあえず血を止めるためにきつう縛るくらいしかでけへん。
 うちはキャラットを谷に残して一人で上に行く道探しに来たんやけど、まわ
りは金ピカやし、おまけに道もあらへん。

 「あかん、どっちに行ったらええかわからへん・・・」

 上の町に人が居らんようになってからどれぐらいか知らんけど、どっちを向
いても、草一本生えてへん。ただ金ピカな岩と土だけなんや。うちはあきらめ
てキャラットのところに戻った。

 「どうだった?」
 「道もなーんもあらへん」

 うちはキャラットのわきに座った。

 「リュウイチたちが来てくれるんを待っとった方がよさそうや」
 「そうだね」

 声が弱々しい。いつも元気なキャラットが、今はえらい小そう見える。

 「どや、痛むか?」
 「ううん、平気・・・」

 谷底まで落ちたんが幸いやったんやな、小さいながらも川が流れとる。水を
汲んでキャラットに飲ませて、それから血のこびりついたキャラットの足を拭
いたった。血がなかなか止まらへんのが気に掛かる。怪我したとこを縛っとる
布はもうどす黒うなっとる。ほんま、大丈夫なんか?

 「ごめんね、心配かけちゃって・・・」

 キャラットが、うちの顔をのぞき込む。

 「気ぃつかわんでもええねん、な?すぐにリュウイチが来てくれるがな」
 「・・・うん」
 「けどまあ、水があるのんは助かったな」

 うちは川に頭をつっこんで水を飲んだ。
 冷たい水が、空きっ腹にしみよる。

 「はらへった・・・はよ来てえな、リュウイチ・・・」

        §    §    §

                     け
 うちらが落ちてもう4日、リュウイチはまだ来えへん。
 ほんま、どんくさいやっちゃ。
 キャラットはだんだん悪うなっていきよる。血はだいたい止まったみたいや
ねんけど、顔はなんや土色やし。血を止めるために縛った足は、ずいぶん前か
ら真っ白や。
 眠っとるキャラット、なんや死んどるみたいで・・・うち、怖いんや。寝て
起きたら、冷たなっとんのとちゃうか、って。
 日に日に弱なってきよるのんを、うちはどうすることもできん。悔しい。ほ
んま悔しい。

 「・・・どうしたの?体の調子、悪いの?」

 声をかけられて振り返ると、横になっとったキャラットが体を起こしとる。

 「なんでや?」
 「難しい顔してるし、それにお腹空いたって言わなくなったから・・・」
 「腹なら・・・むちゃむちゃへってるわ」

 水だけでもう4日や。へってないわけがない。

 「けどまあ、言うてもしゃあないやん。何も食うものあらへんねんもん。
あーあ、リュウイチたち、どこ探しとんのや・・・」

 上を見ても誰も居れへんのんは分かってても、やっぱり見てしまいよる。
 うちがぼけーっと上を見とると、キャラットがぼそっと言うた。

 「・・・アルザの食べられるものなら・・・まだ、あると思うよ」
 「ほんまか?隠しとったんか?」
 「ううん、そういうわけじゃないけど」

 肉か?いや、キャラットのことや、野菜やろ。なんでもええ、久しぶりの食
い物や。口の中に唾がぶわっと湧いてくるわぁ!

 「はよぉ、はよぉ!」
 「あの、・・・その、ね・・・」
 「あーもう、もったいつけんと、はよ出してぇな」

 キャラット、なんや少し寂しそうに笑っとる。
 でも、どこに食べるものがあるねん。うちら二人とも荷物はどっかに行って
もうたし、キャラットは落ちてこのかた、ずっとここにおったんや。
 せや・・・ここにはうちとキャラットしか居れへん・・・
 うちとキャラットしか・・・
 キャラットしか・・・

 生の肉

 新鮮な肉

 目の前にある、まだ生きとる肉

 「ボク、あんまり美味しくないかもしれないけど・・・」

 キャラットは言うたんや、寂しそうな声で。
 うちは、何も言えんかった。
 ただじっとキャラットを見つめるしかできんかった。

 「アルザは、ボクのことキライ?」
 「あほ、キライなわけあるかい・・・」
 「そしたら・・・」
 「人を・・・仲間を食べるくらいなら・・・飢えて死んだ方がマシや」
 「でも!」
 「牙人は・・・獣やない。人なんや」

 けど、キャラットはうちをじっと見とる。うちは目をそらした。

 うちは、あんときキャラットのことを肉やと思うた。
 柔らかそうな腕、柔らかそうな脚。
 かぶりついて食うたらどんな感じやろ?
 したたる血ぃをすすり、肉を噛み切り、骨をしゃぶったら?
 そんなふうに思たんは、うちのなかの獣の血のせいなんか?
 なあ、誰か教えてぇな・・・

        §    §    §

 肉や!焼きたてや!山盛りになっとる!
 久しぶりの食いもんやわぁ。
 骨付き肉なんか、何日ぶりやろか?

 「いっただっきまーす!」

 こういうのんは、お上品に食ったらあかん。
 かぶりつくんや。
 皮のへん、こんがり焼けててむちゃむちゃ美味い。
 肉は柔らかいし、中の方がレアっぽいのんがまた最高や。
 こんな美味い肉やったら、なんぼでも入るわ。

 「ねえ、おいしかった?」

 後ろからキャラットが聞きよる。
 肉を食うのんに忙しいよって、返事の代わりにげっぷしたった。
 キャラットが笑とる。
 いつまでも笑とる。
 ・・・なんや、そんなに笑うようなことか?

 「キャラット、なにそんなに笑てんねん?」
 「だって、うれしいんだもん」
 「何がや?」

 うちは食うのをやめて振り向いた。
 けど、キャラットの姿は見えへん。
 たしかに後ろの方から声がしたんやけど・・・

 「キャラット、どこや?」
 「ここだよ、アルザ」

 キャラットの声が足下からしよる。
 うちは声のしたほうを見た。
 そしたら、そこには・・・
 首だけのキャラットが・・・

 「おいしかった?ねえ、おいしかった?」

 (今の肉、肉・・・!)

 強烈な吐き気、声にならん声。
    :
    :
    :
 気がつくと、目の前は真っ暗やった。あいかわらず金ピカの谷の底や。
 (なんや、夢か)
 たった今見た夢が恐ろしかった。そう思った瞬間吐いた。吐くもんもないの
に吐いた。きつい臭いがたちこめた。
 キャラットを起こさんように、そっと立ち上がる。
 足がフラフラしよる。川まで口をゆすぎに行くのんもキツい。
 空きっ腹に水の冷たさがしみる。
 振り向いて、月明かりの下に横たわっとるキャラットを見て、うちは涙が出
てしょうがなかった。わけもわからんと涙が出よった。

 涙が出んようになったらしまいや。

 飯を食うたびに泣くやつはおらん。

 涙が出んようになったら・・・
 涙が出んようになったら・・・

        §    §    §

 朝がきた。
 キャラットはもうすっかり血の気がのうなって、真っ白に見えよる。
 まるで・・・人形みたい・・・

 「う・・ん・・・」

 目をさましたみたいや。

 「アルザ・・・どこ・・・?」
 「うちは、ここにおるで」
 「よかった・・・」

 体を起こそうとしとるキャラットを寝かしつけた。

 「じっと寝とき。そのうちリュウイチが助けに来てくれるからな」
 「それまでボクもつかなぁ・・・」
 「何言うてんねん!大丈夫に決まってるやろ」
 「ごめん、アルザ・・・」
 「大丈夫やで、キャラット。大丈夫や」

 言いながら涙が出てきよる。
 うちは思わずキャラットを抱きしめた。
 こんな・・・こんな小さかったんか?キャラット・・・

 「アルザ・・・泣いてるの?」
 「キャラットがつまらんこと言うからや。大丈夫やって言うてるやろ?」
 「うん」

 不意にキャラットの体ががくがくと震えだした。怖い。落ちてからこの方、
こんなんなっとるキャラット、見たことない。

 「寒いんか?キャラット、なあ、寒いんか?」
 「ボク、やっぱり・・・だめだよ」
 「しっかりしい、キャラット」
 「ボクね、アルザのこと、大好きなんだ。女の子なのに、変だよね。でもね、
でもね、アルザの中でずっとずっと生きていたいんだ・・・」

 うちの腕の中で、キャラットが熱病にうなされたかのように繰り返しとる。
冷え切った躰、青い顔、死人を抱いとるようや。
 キャラットの震えは収まりそうもない。
 ほんまに、あかんのか?

 「大好きな・・・アルザの・・・中で・・・」
 「リュウイチ、何やってんねん、はやく来てえな・・・キャラットが死んで
まうやろ・・・」
 「だから、アルザ、お願いだから・・・ボクを・・・」
 「アホなこと言わんとき・・・リュウイチ、まだか?リュウイチーーー!」

 叫び声が谷にこだまする。

 「お願い・・・だよ・・・アルザ・・・」

 キャラットの目がゆっくりと閉じていきよる。ウソや、ウソや・・・

 「しっかりせえ!キャラット!キャラットぉぉ!」

 ほっぺたを叩いてみた。長い長い耳を引っ張ってみた。
 けど、けど・・・キャラットは目ぇを開けよらへん。

 「キャラット・・・なあ、目ぇを開けてえな。なあ、キャラット!」

 うちはキャラットの名を叫びながら泣いた。
 さっき泣いたのに、まだ出よる。
 どこから湧いてくるんか分からんくらい涙が出よる・・・

 それからどんだけ経ったやろか、でもそんなに長くもないかもしれん。うち
が動かへんキャラットを抱いて泣いとると、急に後ろから悲鳴みたいな声がし
た。レミットや。探してくれてたんか?でも、でも・・・

 「リュウイチ!こっち!キャラットが怪我してる!」
 (もうあかんねん・・・)

 リュウイチとメイヤーが岩壁をすべりおりてきた。
 メイヤーはキャラットの傷を見て、目をそむけとる。

 「しっかりしろ、メイヤー!ヒーリング・ウェイブ、二人がかりでいくぞ」
 (死んどるんや。もう・・・利かんねん・・・)

 呪文の詠唱に入ろうとしているリュウイチとメイヤーをさえぎる声。

 「下がってください」
 「楊雲!」
 「一番強いやつ、いきます」

 楊雲の指が詠唱のために空を切りはじめた。

 「キャラット、死んどるねん!もうあかんねん!!無駄なんや・・・」

 うちは思わず叫んでた。
 耐えられんかったんや。
 自分で口にした死という言葉が心臓のあたりに矢のように刺さった感じがし
た。
 けど、楊雲はじっとうちの目を見つめて言うた。

 「泣かないで。まだ、間に合います」

 そう言うと楊雲はホーリーブレスの詠唱を始めた。
 なんや、いっつも陰気くさい楊雲が女神様みたいに見えよる・・・
 強烈な魔法力に引きずられて風が舞う。神聖呪文の暖かい波動。キャラット
の傷が癒えていく。
 キャラットを包んでいた光と風がおさまると、そこには元通りの元気な姿の
キャラットがおった。
 一瞬おいて、キャラットが目を開けた。

 「アルザ・・・あ、みんな・・・」
 「よかった、キャラット。よかった!」

 目ぇを開けたキャラットを見たら、また涙が出てきよった・・・ほんま、う
ち泣き虫やな。まいるわ・・・

        §    §    §

 「うち、リュウイチのことずーっと忘れへんで!」
 「本当にありがとう!みんな・・・元気で!」

 空中庭園が一瞬光に包まれた。つぶった目をあけると、リュウイチの姿はも
う消えとった。無事に・・・帰れたんやな。
 暁の女神様はまだおった。
 うちは隣におるロクサーヌに聞いた。

 「なあ、うちも暁の女神様にお願いしてええかな?」
 「そうですね。リュウイチさんの勝利ではなくて、パーティの勝利ですから
ね。かまわないと思いますよ」
 「おまえら!俺の大魔王様復活の方が先だ!」
 「うるさいわね、バカイル」
 「バをつけるなと言ってるだろうが、くそガキ」

 カイルとレミットはいつものようにじゃれとる。
 うちは暁の女神様の方に向き直った。

 「なあ、うちを人間にしてもらいたいんやけど、あかんかな?」
 「人間になってどうするのです?」
 「別に、どうもせえへん。ただ、うちに流れとる獣人の血ぃがな、イヤなん
や、もうイヤや。自分の大事な人を食いたがるようなケモノの血ぃは・・・」
 「そうですか」

 そう言うて女神様はうなずいた。

 「アルザ・・・」

 キャラットが心配そうにうちの名前を呼ぶ。
 (振り向いたらアカン・・・)
 うちはじっと女神様を見つめた。

 「わかりました。目を閉じなさい」
 「はい」

 うちはぎゅっと目ぇをつぶった。これで・・・これでもう・・・

 「あ、あの」

 キャラットの声がした。

 「何ですか?」
 「ボクも、人間にしてもらえるかな?」

 うちはびっくりして目をあけ、キャラットを見た。

 「あなたはなぜ?」
 「ええねんで、キャラットまでつきあわんでも」
 「そうじゃないんだ。ボク・・・ボク・・・」

 キャラットはしばらく黙り込んどったが、ゆっくり口を開いた。

 「ボクは、あのときアルザに食べられてもいいって思ったんだ。でも、アル
ザには負担だったんだよね」
 「違う」
 「だから人間になるんでしょ」
 「それはうちの問題や」
 「だから、だから・・・うまく言えないんだけど、ボクももう食べられても
いいなんて思わないようになりたいんだ」
 「キャラットはなんも悪うない」
 「いいとか悪いとかじゃなくて、ボクの中のフォーウッドの血が、食べられ
ても仕方ないって思わせてるんだとしたら・・・また、あんなことを考えて、
また誰かを苦しめるんじゃないかって」
 「だからうちが人間になればええんや」
 「次、も・・・アルザとは限らないんだよ?」
 「キャラットまで自分を、自分の血ぃを捨てることはない。それに・・・そ
れに、うち、キャラットのそばにずっと居りたいんや。だから次があるかもし
れんけど、そん時もうちや。うちがそばに・・・」
 「そばに?」
 「そうや。うちがキャラットのそばにずっとおる。一生や。せやから、キャ
ラットはキャラットのまんまでおってくれ。頼む」
 「アルザ・・・」
 「うち、キャラットのこと好きや。せや、好きなんや。この旅が終わっても
別れとぉない」
 「ボク、アタマ悪いから本気にするよ?」
 「かまへん。うちも本気や」

 キャラットが目にいっぱい涙をためて、うちの胸に飛び込んできた。髪の匂
いが鼻をくすぐる。それからゆっくりとキャラット自身の匂いが、うちの鼻腔
に満ちていく。胸がドキドキするような、でもなんとなく落ち着くような不思
議な感じや。
 柔らかくて、ちいさくて、可愛いキャラット。
 背中に腕をまわして、ぎゅっと抱きしめる。

 「ちょっと待っとき。うち、ぱぱっと人間にしてもらうし、そしたらいっしょ
にパーリアに帰ろ、な?」
 「うん」

 うちは女神様にうなずいて見せた。

 「では、人間になりたいのはあなただけ、ということでいいですか?」
 「はい」

 うちはキャラットを抱いてた腕をほどいて目を閉じた。
 閉じた瞼を通しても、光がうちを包んでいるのがわかる。
 躰の内側が熱い。
 やがて光がおさまる。
 おそるおそる目を開けると、飛び込んできたのはキャラットの笑顔。

 「アルザ!アルザッ!」
 「どや?うち、ちゃんと人間になっとるか?」
 「うん・・・うん」

 キャラットは、言いながら抱きついてきよった。

 「ありがとう、女神様。ありがと、キャラット」

 うちはキャラットの唇に唇を重ねた。
 柔らかい唇。暖かくて、気持ちええ・・・
 最初のキスの相手がキャラットや。
 悪うない。
 ううん、最高や。
 最高の気分や。
 これからずっと、いっしょや。な?キャラット。

〜Fin〜



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